子どもには良い靴が必要です。歩き始めは、これから何年もかけて大人の足を作り上げていく重要な時期だからです。子どもの足は、まだ骨がじゆうぶんには形成されていませんから、歩くために手助けが必要です。その手助けをするのが靴です。柔らかい子どもの足をサポートし、傷つきやすい皮膚を保護します。子どもにとって、靴はファッションではありません。一生を歩いていく足をつくる、いちばん初めの大切な靴選びです。慎重に選びましよう。

良い足をつくるために

歩くために大切なのは土ふまずで、全身の体重を支える働きがあります。土ふまずは足のバネといわれており、歩くときに足にかかる衝撃を、クッションとして吸収しています。子どもの足には、まだはっきりと土ふまずができていないため、まっすぐ立ったり、歩くことができません。動物には土ふまずがないので、まさに赤ちゃんは動物から人間になる時期ともいえます。3、4歳になると土ふまずが形成されはじめ、さまざまな運動ができるようになりますが、最近では土ふまずができていない子どももみられるようになりました。原因は、生活習慣に負うところが大きいのですが、靴にもその一因があるといわれています。土ふまずをきちんとつくるには、はだしがいいというものの、固い舗装の道では、足に負担がかかります。では、どんな靴が良いのでしょうか。

○値段

良い靴は高く、そうでないものは安い(2000円以下)という傾向はあります。しかし値段だけで靴を判断することはできません。キャラクターがついていたり、ブランド物だったりすると、それだけで値段が高くなるからです。また、せっかく高いものを買ったのだからと、きつくなったものを無理して履かせるのは問題です。手ごろな値段でよい靴を選び、あわなくなったら履きかえていきましょう。

○素材

革は、汗などの湿気を逃したり、足にフィットするので良いのですが、高額なことや種類が少ないのが難点です。最近では素材も研究されているので、布や合成皮革でも充分です。

○かかと

かかとをしっかり包み支えることかかとに体重がかかるため、靴でしっかり支えることが大切です。かかとのないサンダルは、涼しいかもしれませんがお勧めできません。サンダルでも、かかとを包むものが良いでしょう。

足を包むハイカット
足を靴に安定させるために、くるぶしまであるハイカットがベストです。

○重さ

軽い方が良いでしょう。しかし、軽く作りすぎて靴底が滑りやすいものではいけません。

○とめ具

甲で止めるようになっているもの
ひもやマジックテープ(ひもは遊具にひっかかることもあるし、親もはかせやすいので、できればマジックテープがお勧め)で、甲をしっかりと止める式が一番です。靴の幅はE・2Eの2種類しかないことが多く、足の形は子どもごとに左右でも違うので、調節できるものが良いのです。靴がぬげたり、靴のなかで足が前へずれて、つま先があたるのを防ぐためにも、甲からくるぶしにかけて、しつかり止めることが重要です。マジックテープは、甲を何カ所か止めるタイプの方が、よくフィットします。テープのくっつき具合も確かめてみましょう。すぐはずれるようだと、転ぶ原因になります。止めるところのないスリッボン、いわゆるつっかけ靴は、子どもには向きません。

○つま先

幅広で高さのあるもの
先が扇型に広がっていて四角形に近いものや、指の形に合ったものなどがいいでしょう。靴の中で、足の指を自由に動かせるものがいいのです。

つま先が上がっているもの
ただでさえ転びやすいので、つま先が上がっていないと、一層つまずきやすくなります。

足の曲がる位置だけで曲がるもの
自分の足でためしてみるとわかりますが、足が曲がるところは指の付け根しかありません。ここで地面を蹴って歩きます。しかし子どもはまだ自分の力でうまく曲げられません。ですから、ここが自然に曲がるような靴でないと、うまく歩くことができないのです。手で靴をぎゅっと曲げて、確かめてみましょう。ここ以外に他の部分でも曲がるようではいけません。もちろん固くて曲がらないのは論外です。