おすすめ絵本

絵本は作りもしっかりして、色がきれいで、素敵なのがたくさんありますね。お気に入りは、ディック・ブルーナの「子どもがはじめてであう絵本」。第一集の第一巻は「ちいさなうさこちゃん」です。その書き出しは「おおきな にわの まんなかにかわいい いえがありました。 ふわふわさんに ふわおくさん 2ひきの うさぎが すんでます。」どうですか。日本語は感情を中心に自然に発生した言語なのだという説がありますが、本当に心地のよいひびきの美しい日本語です。読んであげる方もうれしくなるのが、よい絵本の条件かもしれません。

そして「あかちゃんのくるひ」(至光社)、武市八十雄さんの案で岩崎ちひろさんが作った絵本です。「おかあさんは ずっと おるすなの でも きょうは あかちゃんをつれて かえってくる」というプロローグつきのそれはそれは素晴らしい絵本です。お母さんがお産で入院して、お父さんと二人で帰りを待っている子のお話です。絵本はおおきな力を持っています。それは受験の参考書のように役に立つということではありません。人間と人間のやさしい関係や思いやり、自然の豊かさなどがどれほど大切であるかを、雨が大地にうるおいを与えるように、いつの間にか子ども達に感じさせてくれるのです。メディアがあふれている現在、読み手のことを考えて、やさしい気持ちで作られているのは絵本だけだといってよい情況になっています。米国の小児科学会はたとえ幼児向けに作られたものでも、テレビやビデオは二歳以前は見せないようにと主張しています。うなずける勧告だと思います。

参考文献:暮しの手帖