トイレトレーニング

おむつをはずすトイレトレーニングは、誰もが負担に思ってしまいます。その原因のひとつは「いついつまでに」「この月齢で」などの、「標準」がとても気になるからです。これが強迫観念を生んで、「負担」となってしまうのです。トイレトレーニングについてアンケートをとり、「標準」の正体を探ってみました。きっと皆さんのおむつはずしの参考になると思います。

みんなこう考えている

トレーニングは大変で辛い?
トレーニングは、「辛い」と「辛くない」が半々に分かれますが、「なかなかおむつが取れない」といった、トレーニングの期間が長いほど幸いと感じていました。しかし、「早いほどいい~」の問いに対しては、6割もの人が「あまりそう思わない」、「全くそう思わない」と答えています。昔は、おむつはずしが早いほど優秀な子どもなどと思われがちでしたが、最近は「個人差」だと知られてきているようです。そして、子どもを叱ったかという間には、「あまり叱らなかった」を含めて6割の人が子どもを叱らなかったと答えています。大半のお母さんたちはおおらかなトレーニングをしています。その一方で、なかなかおむつがとれなかったり、トレーニングをしつけだと思うと、どうしても叱りがちになります。トレーニングをしつけだと思わないこと、焦らないことが、気楽にトレーニングするコツです。およそ半数のお母さんは、親が努力しても早くとれるわけではないと実感しています。トレーニングは努力の対象ではなく、成長の一過程として余裕を持って見守ることが大切です。

いつから始める?
一般的に「季鮪即にこだわらず子どものタイミングを逃さない」といわれていますが、昔ながらの季節にこだわる人も意外と多いのです。夏は、洗濯がラク、薄着で手早く脱がせられるなどの理由で、季節といえば夏だという人が多いのです。しかし、年に一度のチャンスだからと、無理に始めようとすると、かえって親子ともに負担になることもあります。また、目安として「一般にいわれている年齢」に開始すると答える人もいますが、7割ちかい人は、2歳のお誕生日を過ぎてから、3歳までの間に始めています。始めてからどれくらいでとれたかも気になるところですが、5日以内だった人と3、4ヶ月かかった人が多く、短期型と長期型に分かれました。2歳前にはじめると、早く始めた方が、長くかかる傾向がありますが、2歳を過ぎると、その傾向は弱まり、「個人差」が見えてきます。実は、3歳前後ではじめると、5日以内で終わることも多かったのですが、逆に、3歳を過ぎてから急にはずそうとしても、すんなりとはいかないこともあります。これは自我が発達してきて嫌!といってゆずらなくなるからです。生まれた季節も違えば、体の大きさ、器用さも違います。季節や年齢にこだわることはありません。

●トレーニングパンツ

トレーニングパンツは、布製、紙製とあり、種類(価格は大体の目安)は下のようです。布製トレーニングパンツ防水素材や吸収性の高い素材を使っている。1枚400円~900円

トレーニング用紙おむつ パンツ型
花王「メリーズキッズトレパンツ」、ユニチャーム「トレパンマン」などがある。1枚あたり37円~47円

トレーニング用紙おむつ パッド型
フレンド「トレーニングパッド」、ピジョン「オムツとれっぴ-」などがあり、普通の下着にテープでとめるようになっている。1枚あたり22円~30円とパンツ型より割安

トレーニンググッズ

売り場には、トレーニングパンツや補助便座、オマルなどのトレーニンググッズが華々しく並んでいます。こうしたグッズを何も使わなかった人はわずかのようです。先輩たちもなにがしかを用意して取り組んだようです。まず、おむつからふつうの下着になるまでの練習用として、トレーニングパンツがあります。おむつだけで通した人や、すぐふつうの下着にした人以外の、7割以上の人は何らかの形でトレーニングパンツを使っています。

どのタイプを使ってるの?
おむつは紙が主流でも、トレーニングでは布製のものがよく使われているようです。タイプ別で多かったのは、布製トレーニングパンツと普通の下着。トレーニングはやはり布で「ぬれた感じ」、「足に伝わる感じ」を実感させるという意見が多いようです。その一方で、「良くなかったグッズは」の質問にたいしても、布製のトレーニングパンツが一番多かったのです。もれが多く、乾きが悪いのがその理由でした。

布製トレーニングパンツって?
布製のトレーニングパンツは、もれないように防水シートが入っていたり、何重にも布が重ねてあるものです。ぬれた感じがよくわかるという点では下着や布おむつと変わらないのですが、下着ほどはもれず、布おむつと違って着脱が簡単です。このパンツは大きいサイズが少ないので、低年齢からのトレーニングに向いています。用意する枚数が気になりますが、平均で7枚、多い人では20枚以上という人もいました。ゆっくり取り組むなら、枚数が必要になりますが、必要なときに買いたせばいいでしょう。

トレー二ング用紙おむつって?
パンツ型とパッド型があります。紙おむつとちがって吸収量がおしっこ1回分程度と少なく、その分薄手です。パッド型は、ふつうの下着におしっこを吸収するパッドをつけて使います。パンツ型は、おしっこでぬれると絵が浮き出るものがありますが、トレーニングを促す効果があると答えた人は少なく、効果がないとした人が半数近くいるようです。まだ、ぬれた感じがするシートのほうが、効果は高いようです。これに対し、パッド型では、密着感が少ないため、ぬれを感じにくいこともあるようで、手持ちの下着を使って子どもの意識を高める利点はありますが、トレーニング効果となると、少々疑問。このように、「お知らせサイン」など、宣伝ではさも「出たら教える」効果があるようにいわれていますが、半数の人は効果があるとは思っていません。子どもへの効果というより、親が、ぬれたのに気づいて取りかえてやるくらいに考えた方がよさそうです。

どのタイプを選ぶ?
トレーニングパンツのタイプ選びは子どもに「ぬれ」を実感させるか、親が「もれ」たあとの始末を覚悟するか、どちらかです。しかし、「絶対に布」とか、「おむつに戻さない」などと決めつけないことも大切です。外出先などもれて困る場所では、ふつうのおむつを使ったり、逆に「もれるのが嫌だからトレーニングパンツは使わない」と、もれない対策をしている人でも、ときにはおしっこでお尻がぬれたり、足を伝わって流れてくるのを感じさせるようにしてみるなど、柔軟にやることをおすすめします。

一言アドバイス

★ ふつうのおむつや下着でトレーニングした人も多い。それぞれ、「効果は同じだから」「下着のほうが効果がある」という理由が半数以上で、トレーニングパンツはいらないという意見。
すぐ終わりそうな場合は下着だけでやるのも経済的でよい。逆に長期戦になりそうで、洗濯や掃除がストレスになるようなら、ふつうのおむつがおすすめ。トレーニング用紙おむつは割高。

★ 紙おむつにくらべて薄手でl吸収量が少ないため、おしっこ一回分が限界。もれたりかぶれの原因にもなるので、頻繁に取り替える心構えを。外出用なら、紙おむつのほうがもれない


補助便座、オマル

専用のトイレ用品としては、補助便座とオマルがあります。上のグラフのように、補助便座派が圧倒的ですが、どちらも使わない人も1割います。

どちらを選ぶ?
ほとんどの家庭のトイレが洋式なこともあって、圧倒的によく使われているのは、補助便座です。大人用の便座に上から置くだけの簡単なものから、取り付けにコツがいるものまであります。おしっこやうんちの処理はラクです。ただし、オマルにも利点があります。トイレが、部屋から遠い、暗い、寒いなど、部屋でトレーニングするほうがいいときは、オマルが役に立ちます。子どもにとっては足が地について安定性があり、オマルだとうんちができるという意見もありました。オマル補助便座両用タイプというものもあります。月齢の低いときはオマルから始めて、補助便座へ移行、という方法がよさそうに思えます。しかし、月齢が高くなってから始めるなら補助便座だけで済むようで、多機能なものは、無駄になることが多いのです。迷ったら補助便座を買って使ってみるといいでしょう。ただし、温水便座では径の小さなものもあったり、子どもの体の大きさにもよるので、必ずいるものとは限りません。

補助便座を選ぶポイントは?
「丸洗い」できることが一番の条件です。次いで「取っ手」、そして「便座にステップ付き」(子どもが一人で用を足す時に使うタイプ)とつづきます。意外と多かったのが「キャラクター付き」で、「普段親しんでいるキャラクターに子どもが喜ぶ」というもの。まず、洗いやすさについては、幼児のおしっこはまっすぐいかないことが多いので、とにかく簡単に洗えるものを選びます。おもちゃがついていると洗いにくいので、なるべくシンプルなものがおすすめです。そして取っ手についてのチェックポイントは、大きめの取っ手は子どもがつかまりやすく安定しますが、またぎにくくなります。また、使わないときには、しまいにくいということもあります。トイレの広さを頭に入れます。便座カバーは、つけたままでは不衛生です。洗濯のことを考え、取り外しがラクなものを選びましょう。補助便座のステップは、便座にはしご状についているタイプと、踏み台と便座が分かれているタイプがあります。はしごタイプは、概して価格が高く、置き場所を取ります。また、子どもひとりでよじ登ったあと向きをかえて座らなければならないので、狭い足場は不安定で不便です。また、急いで大人が座らせるときは、ステップが邪魔になることもあります。買うなら、踏み台タイプがおすすめです。

さてどうする!?

お母さんは「いつかはできる」と気長に取り組むことです。焦るとつい子どもを怒ってしまいがちですが、これは、子どもが一番かわいそうで不幸なことです。なるべくやりやすい、ラクな方法を子どもと二人で見つけるゆとりを持ちます。子どもをよく観察して、トイレのサインや、何をいやがっているのか原因を知ることが大切です。周りに同年齢の友達がいれば、いっしょにトレーニングをしたり、成功したお友達が用を足しているのを見せてもらうのも、たまにはいいかもしれません。ただし、個人差が「絶対」なのですから、焦らずにゆっくりと…おむつ姿もかわいいと思い、おむつに戻るなら戻ってもいいと思う。そのうち必ず…というくらいがちょうどいいのです。ほんのひとときの育児です。トレーニングが上手くいかなくても育児全体には影響はありませんし、かわいい時期を見逃してまで頑張る必要もありません。どうか楽しい時間を過ごしてください。

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