チャイルドシート

チャイルドシートの着用義務が法制化されて6年がたちましたが、新しい商品ですから、選ぶ目安がわからない人も多いでしょう。01年12月に、国土交通省がチャイルドシートの安全性の格付け(アセスメント)をおこない、やっと、より安全面商品を選ぶための情報を発表しました。この結果をふまえ、チャイルドシートの選び方を紹介します。

チャイルドシートは値段が高いので、リサイクルやレンタル店で人気がありますが、それはお薦めできません。大人用のシートベルトもそうですが、チャイルドシートも一度事故に遭ったものは、安全性を保証する能力を失っていることがあるからです。なにもなくても、樹脂の劣化を考えて5~6年で買い替えるようにすすめているメーカーもあるのです。アセスメントを見ても、値段と安全性は無関係です。それよりも、「しつかり取り付ける」 ことが大切ですから、車との相性や取り付けについて、きちんと説明し、指導してくれるお店で買うことです。シートベルトが命を守る。だから、子どもにあったシートベルトをする。これがチャイルドシートの役割であり目的なのです。

プラスチックのシェル型は
成長にあわせて3タイプ

おとなにとってベルトの位置が重要なのと同じで、チャイルドシートもからだに合わなければ、効果がないばかりか、かえって危険です。こどもはすぐ大きくなりますから、チャイルドシートにも乳児用、幼児用、学童用があります。また、乳・幼児兼用や幼児・学童兼用もあります。一台買うなら、少しでも長く使えるものを選びたいのが本音でしょう。実際、カー用品店の売れ筋1位も2位も「乳・幼児兼用タイプ」で、ふだん見かけるのも、ほとんどこの型です。しかし、兼用タイプを乳児用として使うときは、進行方向に対して後ろ向きに取りつけるため、乗せ降ろしがラクなようにと座面が回転するものが多く、その分どうしても座面が高く、重くなってしまいます。その点、乳児専用タイプは、後ろ向きに取り付けるのは同じですが、とても軽くできていて、しかも、キャリーにもなるので、寝ている赤ちゃんをそのまま運ぶことができ、乗せ降ろしの手間もかかりません。出産後、退院のさいに車を使うときから、チャイルドシートは必要です。そんなときは、乳児専用タイプを選ぶようにします。

さて、「チャイルドシート着用義務化」の対象は、小学校入学前までの子ども(6歳未満)です。そのように年齢で区切られたために、チャイルドシートは、小学校入学とともに「いらなくなる」、と解釈されがちです。しかし、まだからだの小さな小学生が、おとな用のシートベルトをそのままつけたのでは、ベルトが首にかかってしまいます。シートベルトによって安全が保証されるのは、ベルトがしっかりと骨(鎖骨と骨盤)にかかることが前提です。法律上は着ける義務がないとしても、「からだに合ったシートベルトをする」という大原則は、命を守るために大切です。そこで登場するのが学童用シートです。これには、大きく分けて2種類あります。どちらも座面を上げてベルトが首にかからないようにするのが目的ですが、選ぶなら、背もたれのついたハイパックタイプがいいでしょう。このタイプは、肩のあたりにべルトを止めるクリップがついていて、よりベルトが鎖骨に当たるようにできます。子どもの命を守るのは、警察や法律ではありません。親なり保護者の責任なのです。年齢ではなく、子どもの成長を見極めて、身体にあったベルトを使うようにしましょう。

■学童用シート。肩のあたりについたクリップで、ベルトが鎖骨にかかるように調整できる
■からだが小さいと、ふつうのシートベルトでは、ベルトが首にかかってしまう。事故の衝撃で首が締められることになりかねないので、絶対にさけること

「赤ちゃんが乗っています」ステッカーを貼るねらい

街中を走っていると「赤ちゃんが乗っています(Baby in Car)」のステッカーを貼った車をよく見かけます。キャラクターをあしらったもの、標識のように黄色と黒で目立つデザインのものなどもあります。もともと 「子どもがいるのでゆっくり運転でも大日に見てください」 とか 「運転に気をつけてくださいね」 というアピールのためのものだった,と思います。周りの車に対して、あおらないでほしいと知らせるのはよいことだと思います。一方、ステッカーはしっかりと貼りながら、同乗の子どもは、というと車内をうろうろしたり、2、3人でふざけあっている…サイドやリアウインドーにはフィルムを貼って、外から目立たないようにして走り去るワンボックスカーを見かけることもしばしばです。あるいはお母さんが運転し、後部座席に空のチャイルドシート、隣におばあちゃんに抱っこされた子どもがいるという光景を目にしたことも一度や二度ではありません。

ステッカーを貼るよりも、子どもを車に乗せるときには、必ずチャイルドシートに座らせるべきです。法律で定められた着用義務を怠って、「赤ちゃんが乗っています」とアピールするのは矛盾する行為に思えて仕方がありません。赤ちゃんが生まれたから…、と何となく気分でステッカーを貼っていた方には酷な言い方かもしれませんが、チャイルドシートを正しく装着し、どんなに近所でも必ず着用してこそ、はじめて貼る資格があるのではないでしょうか。

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