育児の気がかりQ & A - 発達の心配(1)

首がまだすわらない

まだ首がすわらず不安定です。どこか悪いんじゃないかと、日に日に不安がつのってきますが。(4ヶ月)
首すわりというのは、人間の運動機能の基本です。寝返りやハイハイと違って、訓練でじょうずへたになるものでもないし、うつぶせにしたから必ず早くできるというものでもありません。統計的には、3ヶ月で首のすわる子はまだ50%。これが90%になるのは、4ヶ月です。ですから、基本的には5ヶ月よりおそくなければ、まず心配することはありません。また、たとえ5ヶ月になっていても、お母さんが赤ちゃんの両手を持って抱き起こしたときに自分で頭をもち上げようとしたり、首も体といっしょについてくるようなら大丈夫。首すわりのステップを確実に踏んでいますから、不安を感じることはありません。医師が「首がすわらない」と言うのと、おさんが「首がすわらない」と言うのとでは、わりとギャップのあることが多いもの。お母さんは首がピンと立たないと不安なようですが、そうではないことも覚えておいてください。5ヶ月の段階で引き起こしても全く首に力がなくダラーツとしている、うつぶせにしても全く首を上げられないようなら、小児科医に相談しましょう。3〜4ヶ月健診を、きちんと受けておけば大丈夫だと思います。

声を出して笑わない

同じころに生まれた友人の子は、あやすとキャッキャッいって笑うのですが、うちの子はなぜか声を出して笑いません。(5ヶ月)
声を出さなくても、表情が豊かでニコニコしているなら心配はありません。必ずしもキャッキャッいって笑う必要はありませんから。お母さんの声を聞いて表情が変わったり、泣きやんだりする、また「アー」とか「ブー」とかのなん語が出ているかどうかをチェックして、それらがオーケーなら問題なしです。泣いているときに声をかけると、ちょっと表情がなごむというのならまず大丈夫。けげんそうな顔でももちろんけっこうです。

足をツンツンしない

4ヶ月くらいになると、赤ちゃんを膝の上に立たせたとき、足をツンツンさせるようになる」と友人に教えられたのですが、うちの子は全然そんなけはいがありません。(5ヶ月)
4〜5ヶ月になると、たいていの赤ちゃんは足をツンツンします。しないときに考えられることの一つに、股関節脱臼があります。おむつをとりかえたり足を動かしたりするときに、極端にぎごちないとか、ギャッと泣くようなことがあるのなら、小児科医や整形外科医に相談してみてください。そういうことがほとんどなく、元気で手足を動かしているようなら問題はなし。お母さんが足を上げてあげたりして練習を積み重ねていけば、できるようになります。股関節脱臼は小児科医なら2〜3ヶ月でわかりますから、健診のときに何も問題がないといわれたなら、心配することはありません。

名前を呼んでもふり向かない

名前を呼んでもなかなかふり向いてくれません。(6ヶ月)
呼んでもふり向かないというとき、まず心配されるのが聴力の問題ですね。いろんな場面でお母さんが声をかけたり、おもちゃで音を立てたりして反応を見てみるといいでしょう。でも、いつの月齢でも遊びに熱中しているときは、無視することもあるので、ある程度普通の状態でいるときに試してみることです。声をかけてみて、必ずふり向かなくても、なんらかの反応があれば大丈夫。表情が変わるかどうか、目の動きはど手かなどで判断することができます。普通の会話の声で反応しないようなら、難聴ということもあるかもしれません。しょっちゅうふり返らないようなことがつづくなら、小児科医に相談を。

寝返リしようとしない

毎日うつぶせや寝返りの練習をしているのですが、自分でやる意思が全くないみたい。太りぎみですが、そのせいですか?(6ヶ月)
寝返りの目安は5ヶ月ぐらいです。でも、遅れる赤ちゃんがけっこう多くいるようですね、特に太っている赤ちゃんなど。つまりうつぶせの姿勢が苦しくて嫌いなんです。こういう子の場合は、ハイハイも苦手になるかもしれません。それでも、ほかの運動機能に問題がなければ心配はありません。かといって、何も働きかけないで待っているのは考えものです。やはり1日に何回かはうつぶせにさせて、姿勢を覚えさせてあげましょう。ときどき横向きになって足を上げているようなら、そのときに軽く足とおしりを支えてあげて、下半身をひねる練習をさせるのも効果的。背中は押さないようにします。首がすわった段階でうつぶせにする練習はスタートさせてかまいません。

発育、発達がおそいと、これからもすべておそい?

発育、発達がよその赤ちゃんにくらべておそいと、これからもすべてがおそいのでしょうか。(6ヶ月)
子どもの発育、発達にはいろいろな側面があります。たとえば運動機能をみても、手先のこまかい作業から体全部を使う大きな動きまでさまざま。しかも赤ちゃんにはそれぞれ得意、不得意がありますから、みんなの発達がピッタリと横一線に並ぶことなどありえないのです。寝返りもおすわりも、目標ではなく、あくまで通過点。いずれは全員が歩けるようになるのです。いまおそいからといって、ずっとおそいなんてだれにもわかりません。ですから、「うちの子はこれからもおそいだろうか」と気にしながら育てるのは、意味のないことなのです。お母さんも、あまりよその子と自分の子をくらべないようにしてあげたいものですね。

人見知りをしない

上の子には、7〜8ヶ月のころすごい人見知りをされて困りました。なのに、下の子は逆にほとんど人見知りをしないのです。(8ヶ月)
人を見てギャーギャー泣くのを人見知りととらえるなら、7〜8ヶ月の赤ちゃんには必ずしもなくていいでしょう。この時期では、自分の知っている人、自分にやさしくしてくれる人、または知らない人の区別が、表情に出ていればいいのです。お母さんになら、喜んで手を伸ばすけれど、知らない人にちょっと態度を変える、身を引きざみにするとでもいいましょうが、そんな様子であれば、これは十分な人見知りです。泣かなければいけない、ということはありません。

おすわりができない

伝い歩きはぼちぼちできるのですが、なぜかおすわりができません。足を前に出してすわらせると、頭から前にドッと倒れてしまうのです。(9ヶ月)
90%の子がおすわりができるようになるのは、平均では8ヶ月に入ったころといわれています。ですから9ヶ月の初めのころには、だいたいの子がひとりずわりができていてもいいでしよう。そういう意味では「かなりおそい」というわけではありませんから安心してください。いままでの発達の途中で何かトラブルがあったとか、いまも体全体の様子がおかしいとかいうことではないわけですから、あすわりできるようになるでしょう。すべてのことに言えることですが、運動発達には個人差がかなり大きいものです。その子によって得手不得手ということも当然出てくるわけですから、もちろん教科書どおりにはいきません。兄弟間に差があるのもしかたのないことでしょう。ある項目がおそくてある項目が早いというふうに、多少の順序のズレがあったり、つかまり立ちができるのにおすわりができないというような、順序が逆になることもよくあるものです。寝返りができてハイハイができているようであれば、すわる前段階まではいっているということ。つまり、うつぶせからすぐ前に出ることを覚えて、それですわらなかったと解釈していいと思います。練習は、まず遊びの中でするということを心がけましょう。赤ちゃん体操などをしながら、ちょっと背中を支えてあげたりして感覚をつかませてあげるといいでしょう。何もしないで待つというよりは、ある程度働きかけをしてあげることもたいせつです。