症状からみる病気と家庭看護 - 熱がある

始めにチェックしたいこと

赤ちゃんの様子を観察

赤ちゃんはよく熱を出します。体温を調節する働きが未熱なため、病気でなくても、たとえば、水分不足をおこしたときとか、着せすぎ暖めすぎのときなどに、熱を出すことがあります。病気で発熱したときも、その病気の重い軽いにかかわらず、アッという間に高熱になることも珍しくありません。発熱は赤ちゃんの体調変化を知らせる重要なサインではありますが、「熱が出た」ことだけで大さわざしなくて大丈夫なのです。それよりも、発熱したときの赤ちゃんの様子をよく観察することのほうがたいせつです。

体温計で熱をはかる

毎日検温していれば発熱に早く気づきます。検温以外、日常の世話では、おっぱいを含んだ口が熱い、おむつがえのときにふれた体が熱い、顔がほてっている、ひたいにさわると熱っぽい、なんとなくだるそうなどと感じたら、熱が出ている可能性があります。すぐに体温計で熱をはかってみましょう。熱の高さだけを見るなら、37・5度前後までは平熱~微熱。病気の始まりかもしれません。もしそうだとすると、朝、37・5度を超えているようなときは、その日の夜38度以上に熱が上がることも考えられます。その日の診察時間内に、一度医師にみてもらっておくと安心でしょう。38度くらいになれば、必ず何かの病気です。早めに医師の診察を受けます。発熱が夜間や休日なら、熱以外心配な症状がなければ、翌日まで待って診察を受けてもおそくはないでしょう。

少し様子を見ていいとき

ごきげんのよさが目安

熱の高い低いにかかわらず、ぐあいが悪いときは、早めに医師の診察を受けるのが基本です。でも、必ずしも心配するケースとは限りません。たとえば、多少むずがるけれどあやせば笑うし、食欲もまあまあ、比較的元気な様子が見られれば、まず心配はないでしょう。高熱で赤い顔をしてフーフーいっているようなときでも、きげんがよくて水分やミルクをよく飲んでいるなら、そう大あわてしなくてもよい場合が多いものです。高熱が出ると脳に障害が起こるのではという不安もよく聞かれますが、熱そのものが脳や神経、または生命をおかすことはまずありえません。髄膜炎や脳炎など、脳に障害を残す可能性がある病気が根本にあって、初めてその心配が出てくるのです。このようなこわい病気のときは、熱以外に、「ただごとではないゾ」という症状が必ずあらわれているはずですから、それを見落とさないようにすることが重要です。

様子を見るポイント

病気の経過を見るときは、熱以外の次のポイントに注意してください。まず「顔色が青白くないか」。熱があるときは多少上気して顔が赤くなるのが普通。「食欲はあるか」「きげん、元気は」。熱が高くても、様子がしっかりしていれば危険な病気の心配は少ないものです。「意識ははっきりしているか」「呼吸が苦しそうか」「吐き気、嘔吐、下痢はひどいか」「ケイレンを繰り返すか」「おしっこの量が極端に少ない、回数が多すぎることはないか」「体のどこかを特に痛がることはないか」。これらのポイントは、病状の変化を見るうえでかなり重要な事柄ですから、慎重に観察してください。その他「せきや鼻水」「発疹」などの症状。「熱が出る前の様子はどうだったか」「いつ、どんなふうに、どのくらいの熱が出たか」「熱の出方はどのように変化していったか」なども含めて、診察のときに医師にきちんと伝えられるようにしておきしましょう。

こんなときは急いで病院へ

熱以外の"危険信号"をチェック

熱の高低にかかわらず、至急医師の治療を受けなければならない場合もあります。次の症状があれば、夜間でもすぐに病院に駆け込みましょう。「顔色が蒼白」。手足も冷たく、目に生気がなくぼんやりした様子で、どんなにあやしてもグズグズときげんが悪い。「意識がはっきりしない」。スヤスヤ眠っているのと違い、ぐったりした様子でうつらうつらとして、呼んだり起こしたりしても反応がない。脈が弱くなることも。「呼吸困難」。呼吸が荒くて苦しそう。小鼻をヒクヒクさせたり、あえぐような息づかいをする。くちびるや手足の先が紫色になっているときは特に急いで病院へ。

「ケイレン」。5分くらいでおさまる熱性ケイレンなら心配ありませんが、ケイレンが長く続いたり、たびたび繰り返して起こるときは注意を要します。「嘔吐、下痢」。何度も吐いて、水分も受け付けない。ひどい下痢がつづいて血液や膿がまじる、いやなにおいがするなど。「ぐったり」。生気がなく、ぐったりしていれば大至急病院へ。おしっこが出なくなったり、皮膚の張りがなくなって目が落ちくぼみ、くちびるがカサカサになっているときは脱水症の危険。以上のような症状は、生命にかかわる緊急事態や重い病気の心配があるときです。迷わず病院へ急ぎましょう。

月齢の低い赤ちゃんは…

特に生後3ヶ月未満の赤ちゃんの場合は、病気の進み方も早く、病状が急変しやすいので、あまり余裕を持って様子を見ていないで、熱が出たらできるだけ早く医師の診察を受けましょう。また、6ヶ月未満の場合、もとより熱を出すことは少ないので、発熱は要注意のサインだと考えましょう。気になるほどの発熱がなくても、赤ちゃんの様子がどこか変、ぐったりして見るからに苦しそう、というときには急いで病院に行かなくてはいけません。

家庭看護のポイント

寝具、衣装を心地よく

熱があると体がほてって寝苦しいものです。布団や毛布の量を調節して、暑くないようにします。ときおり部屋の窓をあけて新鮮な空気を入れ、気分をすっきりさせることもたいせつ。冬の暖房は、室温20度くらいの目安で十分。月齢の低い赤ちゃんには、湯たんぽを寝具の足元に入れて保温します。熱の上がりざわに、ゾクゾク寒そうな様子でしたら、そのときは寝具を増したり湯たんぽを入れて暖かくしてあげます。衣類は、肌ざわりのよい木綿素材のものにして、汗をかいたらこまめにとりかえてあげましょう。寝具同様、熱の出始めは暖かく、熱が上がってからは暑苦しくないように調節します。着がえのときに、お湯でしぼったタオルで体をふいてあげると、赤ちゃんはさっぱりして心地よく過ごせます。

水分をたっぷり補給

食欲があれば、母乳やミルクはほしがるだけ与えます。離乳食は、消化のよい形に調理して食べたいだけ。理想を言えば、高タンパク、高ビタミンの食事をとらせたいのですが、食べたがらないものを無理じいするのはタブーです。熱があるときは、水分が多くのど越しのよい食事を工夫してみましょう。食欲がないときも無理に食べさせる必要はありません。湯冷まし、番茶、イオン飲料、ジュースなどを十分に飲んでいれば心配ありません。いつもよりこまめに与えてみましょう。あとは家の中で静かに過ごすように心がけることです。

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