症状からみる病気と家庭看護 - 赤ちゃんのための家庭看護1

快適な環境づくり

家の中でいちばんいい部屋を

静かで、日当たり、通風のよい部屋、夏なら涼しく、冬なら暖かく過ごせる部屋が赤ちゃんの病室には最適です。でも、そんな理想の部屋は、望んでもそうあるものではありませんから、「家の中でいちばん環境に恵まれた部屋」を選んであげましょう。ただし、お母さんからも赤ちゃんからも、常にお互いの姿が見えることを条件に加えてください。赤ちゃんは病状が急変しやすいので、いつもお母さんの目を届かせておきたいというのが理由の一つ。そして、病気のときは心細くなるものですから、赤ちゃんはいつも以上にお母さんの姿を求めるというのが二つ目の理由です。

1~2時間に一度は換気

室温は、冬なら18~20度、夏なら外気温より3~5度低いくらいが目安です。湿度は50~60%が過ごしやすいようです。空気が乾燥する冬は加湿器を、湿けが多い夏は除湿器の利用がおすすめです。暖房器具は、できるなら空気を汚さないエアコンやクリーンヒーターを使うとよいでしょう。石油やガスの一般暖房器を使う場合は1~2時間ごとに換気するのを忘れないでください。

冷房は、クーラー、扇風機、冷風扇などを利用することになりますが、冷たい風が直接赤ちゃんに当たらないよう気を付けます。新鮮な空気や風を取り入れるために、窓はできるだけあけたいのですが、ほこりや排気ガスなどで空気が汚れていたり、騒音がある環境では、そういうわけにもいきません。エアコンや空気清浄器をしょうずに利用したいものです。

生活雑音も抑えてあげる

電話の下にクッションを敷いたり、ドアチャイムを鳴らさないよう玄関にメモを貼るなどの工夫をしましょう。お母さんがバタバタ動かない、家事はちょっと控えめにするなどの気配りも必要ですね。赤ちゃんの安らかな眠りを妨げないようにしましょう。

寝具はかけすぎないこと

病気、特に熱があるときは、体を温めることに気がいって、つい布団をかけすぎてしまう傾向があります。「熱があるときは汗をかかせて下げる」というのは、いまや"常識のウソ″。熱があるときこそ、体を涼しくして熱の放散をスムーズにするのが"正しいケア"です。赤ちゃんの様子を見ながら、寝具を調節してあげましょう。寝具ケアの基本は清潔で気持ちがよいことです。敷布団は2枚用意して、毎日交互に日に干して使う、シーツやカバーは洗いたてのものをかけるなど、気を配ってあげて。あれば、ベビーベッドに寝かせるのがいちばんです。部屋の中で、いちばんほこりがよどみやすいのは床上20~30cm。できればその空気ゾーンを避けたい位置に寝かせてあげたいものです。

薬を飲ませる

必ず医師に処方してもらいます

赤ちゃんの薬は、医師に処方してもらい、分量、回数などの指示を守って使うのが原則です。むやみに市販薬を利用したり、前回飲み残した医師の薬を次回に使うということは慎みましょう。年上の子ども用に処方してもらった薬や大人の薬は、量を減らしても赤ちゃんにとっては危険なことがありますから、絶対に与えないでください。

時間はあまり厳密でなくてもオーケー

抗生物質のように「何時間おき」と、飲む時間を指定されている薬は、できればそのとおりに与えるのが望ましいのですが、眠っているのを起こしてまで飲ませる必要はありません。目が覚めてから与えましょう。食後1日3回という指示の場合、ぐあいが悪くて思うように食事(ミルク)をとってくれないときなどは、おおまかに朝・昼・夜と、何か口にした機会に与えればよいでしょう。薬を飲ませる時間はあまり厳密に考えなくて大丈夫です。

いやがるとき、副作用があったときは?

いやがって飲まないときは、少し時間をずらして、少量ずつ与えてみましょう。どうしても飲まない場合は、医師に相談します。吐いてしまったときも、医師に相談しましょう。かってにもう1回分飲ませることは慎みます。薬を飲ませて、発疹、嘔吐、下痢が起こったとき、なんとなく病状が変になったときは、薬の副作用が考えられます。しかし、かってに薬をやめたりせず、医師に相談しましょう。

水薬はスポイトかスプーンで

びんをよく振ってから、目盛りをきちんと見て正確な分量をはかり、別の小容器にとります。スポイトかスプーンで少しずつ、赤ちゃんの口の端から飲ませます。口を開かないときは、お母さんの片手で赤ちゃんの顔を下からつかみ、指先に力を入れてほっペを左右両側から軽く押すと、うまく飲ませられます。寝かせたまま飲ませるときは、顔を横に向けて、ほおの内側に水薬をたらします。

粉薬はねって口の中につける

粉のまま与えるとむせることがありますから、小さじ半分くらいの湯冷ましでかためにねって与えます。ねった薬をお母さんの指先にとり、赤ちゃんの上あごかほおの内側につけ、そのあとすぐに湯冷ましを与えて飲み込ませます。粉薬をぬるときに砂糖水を使ってもよいでしょう。ミルクを使うと、あとあとミルク嫌いになることもありますから避けます。錠剤・カプセルは気管に詰まる危険があるので、ふつう3才未満の子には使いません。やむをえず、与えなければならないときは、錠剤はスプーンの裏などを使ってつぶし、カプセルは中身を出して、粉薬の要領で飲ませます。が、薬によってはそのまま飲まなければいけないものもあるので、薬をもらったときに医師に説明を聞いておきましょう。

坐薬はしっかり奥まで

おむつがえの要領で、寝かせた赤ちゃんの両足をもち上げます。坐薬の先が細くなっているほうから、坐薬がすっかり見えなくなるまで赤ちゃんの肛門に挿入します。入れ終わったら、ティッシュペーパーなどで肛門をしばらく押さえ、坐薬が飛び出してこないようにします。

衣服の調節

着せすぎに注意します

寝巻は、やわらかく吸水性、通気性のある綿素材に。着がえなど、お母さんが世話をしやすいように、前あきのセパレート型のものにします。寝具のときと同じで、着せすぎに注意します。そして、汗をかいたらこまめに着替えさせます。眠っているのを起こしてまでする必要はありません。

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