赤ちゃんの名前 - 名づけるときの決まりごと

名づけに使うときの文字は法律で決められていて、それ以外の文字は使えないことは説明しましたが、出生届の提出の出方も法律で決められています。出生届は、私たらが、憲法や法律で定められた日本国民としての権利や義務、そして、幸福な生活を享受することが保障され、公に認められるためのだいじな第一歩なのです。両親にとっては、出生届を期限内に提出することはたいせつな義務であるといえます。

出生届は14日以内に

赤ちゃんが生まれたことが公に認められるのは、両親が役所に出生届を出し、それが受理され、親の戸籍に記載されてからです。出生届の提出期限は、赤ちゃんが生まれた目を第1日として、14日以内とされています。期限の目が休日の場合はその翌日、連休にあたった場合は2日後までは認められており、この期限内であれば24時間受理されます。提出期限ぎりぎりになっても決まらない場合は、いつまで提出可能なのか、どこに提出したらいいのか、役所の戸籍係にそのことを確認する必要があります。提出期限について注意しなければならないのは、生まれた目が、その日の夜の11時59分であっても第1日として数える、ということです。

14日以内に名前が決まらないときは

14日が過ぎても、もちろん出生届は出せますが、水害や地震、がけ崩れなどの天災で提出できなかったなど、よほどの理由がないかぎりは、戸籍法に定められた規則によって、簡易裁判所から科料を納めるよう、連結がくることがあります。14日が過ぎて出生届を出すときは、出生届とともに、「届け出遅延理由書」を提出しなければなりません。また、どうしても名前が決まらない場合は、出生届の「子の氏名」欄に記入せずに提出しておいて、後日、急いで「追完書」を出す、追完手続きの方法もあります。だいじなふたりの愛する赤ちゃんのせっかくの名前です。めんどうな追加手続きをしなくて済むよう、出生届は早めに提出することをお勧めします。

出生届の提出先

出生届は、つぎにあけるいずれかの市区町村役所(役場)に提出します。また、提出する役所によって、提出する枚数も決められています。

提出場所 提出数
子供の出生地の役所
(母親の実家や産院のある場所)
2通
1通は受理された役所での保管用。もう一通は親の本籍地に送られる
(以下同)。
住民登録をしてある役所(親の居住地) 2通
親の滞在地の役所
(長期入院先や長期出張先など)
2通
親の本籍地 1通

届けに必要な書類や印鑑

出生届用紙は全国共通で、市区町村役所の戸籍係窓口にありますが、産婦人科病院や産院でも用意してあります。出生届は、親の書く出生届の欄と、医師や助産婦が記入する出生証明の欄がセットになっています。この出生証明の欄が空白になっていると、一戸籍係の窓口では受理してもらえません。出生届を提出するときには、次のものが必要です。
・出生届(医師や助産婦の出生証明欄の記入が必要)
・母子健康手帳
・印鑑(必ず出生届に捺印した印鑑)

なお、国民健康保険に加入している家族は、保険証を持参し、赤ちゃんがすぐ加入できるよう、手続きをすることができます。会社の健康保険に加入している人は、出生届の手続きをしたときに、戸籍係の窓口で「出生届受理証明書」を発行してもらい、会社に提出するとよいでしょう。

届け出は誰がするか

出生届を出す人も、法律でつぎのように定められています。
・赤ちゃんの父親、または母親
・父親や母親が提出できない場合は同居者
・出産に立ち会った医師、または助産婦
・出産に立ち会った他の者

の順で届けることができます。
役所に届ける届出人は、代理人でもよいのですが、提出する段階でなんらかの不都合が生じることもありますので、届け出義務者本人が、直接届けることをお勧めします。

出生届の書き方と注意点

出生届を書くときに、もっとも気をつけなければならないのは、「子の名前」欄です。ついうっかり、似たような字をまちがえて書いた場合、それがそのまま戸籍に記載されてしまいます。それにまったく気がつかないで、2、3年たってから実際の名前と戸籍に記載された名前の違いに気がつく、ということもたまにあります。達筆なところを見せようと、草書体で書いたりすると、まちがって記載されたり、この字は常用・人名用漢字にはふくまれていない、と受け付けてもらえないことがあります。記入するときは、つぎのことに注意します。
・消えやすい鉛筆やインクで書かない
・楷書で書く(特に子の氏名欄は間違わないよう正確に)
・出生届けの日は、役所に提出する日とする
・年月日、住所や本籍地の所番地は、アラビア数字で正確に書く

読み方は、戸籍には載りません。ふりがなを子の氏名欄に書いてしまうと、ふりがなつきの名前として戸籍に記載されることもあります。生まれたときと生まれたところは、出生証明書の記載に従って書きます。住所は、赤ちゃんの両親が住んでいるところ、住民登録をしているところを記入します。世帯主は、ふつうは父親ですが、二世代、三世代がいっしょに住んでいると、おじいちゃんやひいおじいちゃんの場合もあります。

外国で出産した場合

最近は家族で海外に赴任する機会も少なくなく、外国で出産することもあります。海外で出産したら、わが国の法律に則って、大使館、公使館、または領事館に、14日以内に出生届を出します。そこで受理された出生届は、大使館、公使館、領事館から、日本の本籍地の市区町村に書類を送ることになっています。アメリカやカナダ、イギリス、フランス、スペイン、中南米諸国では、その国で生まれたら、それだけでその国の国籍を自然に取得できるという、生地主義を採用しています。したがって、二重国籍になったり、その国の国籍のみを取得することになる可能性もありますので、外国でお産をするときは、その国の大使館、公使館、あるいは領事館に、あらかじめ手続きの方法を確認しておく必要があります。