赤ちゃんの名前 - 男の子の名づけのPOINT

男の子の赤ちゃんの名前は、漢字で2字が全体の6割以上を占めていますが、漢字1字も3割近くまでふえてきました。いっぽうで、個性的な読み方をした漢字3字の名前もしだいにふえてきています。読み方は、1字の名前でも、2字の名前でも音読みが多くなってきています。そのほうが歯切れがよく、すっきりとして、いさぎよい感じがするからでしょう。反面、「聖(あきら・ひじり)」「史(さかん)」「彬(あきら・さかん)」など、独特な訓読みの名前もふえつつあります。これは、親が個性的な名前をつけたいと願っている最近の傾向といえます。また、親が子にこういう人間に育ってほしい、という願いを込めた名前や、漢字の意味にとらわれず、読みや響き、文字そのものの美しさを重視した漢字を使うことも多くなってきたようです。男の子の名前をつけるたいせつな要素として、
@おおらかさ、スケールの大きさ
A明朗、快活性
B理性、頭の良さ、重厚さ
Cリーダーシップ、誠実さ、堅実さ
Dパイオニア精神の旺盛さ
E強さ、頼もしさ、いさぎよさ
などがあげられますが、これらの要素はもちろん、おたがいに関連し合います。かつては力強さや、頼もしい名前が重視されていましたが、最近はいさぎよさが感じられるような名前が好まれています。

漢字1字の名前

漢字1字の名前は、見た目がすっきりとしていさぎよく、響きもよく、覚えやすいという特徴があります。
1字の名前は、2字、もしくは3字の名字によく似合うとされていますが、1字の名字には適当でないというわけではありません。1字の名字に1字の名前だと、名字と名前で2字になるので、氏名がそのまま名字と間違われることもあります。しかし「森翔(もり しょう、もり ひらく)」というふうに、工夫によっては個性的な名前をつけることができます。漢字1字の名前で、個性的なものをいくつかあげてみます。

<訓読み>
旭・晄・煌・閃→あきら 聖→あきら・きよし
彬→あきら・さかん 磐→いわお 督→おさむ
兜→かぶと 尭→たかし 驍→たかし・いさむ
湊→みなと 永→はるか 英→たけし 昴→すばる 傑→すぐる・たかし
<音読み>
郁→いく 逸→いつ 温→おん 櫂・魁→かい
卓・拓・琢→たく 挺・恰→ちょう 笠・劉→りゅう
稜・玲・凉→りょう 練・煉・漣→れん

漢字2文字の名前

漢字2字の名前が圧倒的に多いのは、名字との組み合わせや読みからみて、男の子らしく重厚で、もっとも安定しているからでしょう。 これまでは「俊宏(としひろ)」など、訓読み4音が一般的でしたが、最近は、漢字2字を3音で読んだり、印象的な音読みと訓読みを重ねるなど、個性的な名前が多くなってきています。そんな場合は、できるだけ無理のない読み方をしましょう。漢字は、画数が少なく単純で、きっぱりとしたもの、角ばったもの、斜線がはいったもの、丸みのあるもの、点やはねの多いものなど、さまざまです。 名字がもし「田中」「吉田」など、縦と横の線がはっきりしている場合は、名前には斜線の入った文字や丸みのある文字を使ったり、逆に画数の多い名字には、単純で画数が少ない漢字を使うなど、視覚的なよさを考えるのも名づけのひとつの方法といえます。 また、「一郎」「健太」「康夫」「哲雄」「拓哉」の「郎、太、夫、雄、哉」など、名前のうしろに男の子だとすぐわかる文字を使った名づけ方もあります。このような名前の下の字を"止め字"といいますが、止め字の上の文字をうまく使えば、男の子らしい名前になります。

<漢字2字を4音で読む名づけ例>
明宏→あきひろ 瑛吉→えいきち 公威→きみたけ 覚晃→さだあき 宇大→たかひろ
淑史→としふみ 憲和→のりかず 勲忠→ひろただ 萌正→ほうせい 舜入→みちひと
盛喜→もりのぶ 行成→ゆきまさ 諒一→りょういち

これらの名前には、こんな読み方があったのか、と思うような読みもあるかもしれませんが、すべて人名漢字の読み方の許容範囲のものです。

<漢字2字を3音で読む名づけ例>
晃良→あきら 功武→いさむ 英輝→えいき 磨人→きよと 剛史→ごうし・つよし
倭王→しずお 尚志→たかし・なおじ 直也→なおや 紘志→ひろし 大和→やまと
惇志→あつし 幾磨→いくま 右京→うきょう 央輝→おうき 紀信→きしん
祥央→さちお 誠希→せいき 法美→つねみ 捻待→ねんじ 郁弥→ふみや 悠士→ゆうじ 魁斗→かいと 杢至→けいじ 創児→そうじ 迅人→はやと 真郷→まさと

上の字を2音にして、下の字を1音にすると、きっぱりとした男の子らしさが出ます。常用・人名用漢字表を見ながら、漢字の組み合わせと読み方を考えてみるのも名づけの楽しさであり、お子さんへの愛情が増し、期待がふくらんできます。

止め字を使った名前

止め字を使うのは、感覚が古いとして一時あまり使われなかったこともあります。しかし、最近は男の子にも外国風の名前がつけられる傾向が強くなっているので、「朗」「拓哉」「郁弥」「春樹」「冬彦」「大輔」「宜仁」など、止め字を使った 名前が、かえって新鮮に映るようです。男の子の名前に使う止め字は、「ヤ、シ、ジ、オ、ロウ、タ、スケ、ヒコ、へイ(ペイ)、キ、ト、ヒト、キチ」など、発音してみると、おおらかで、いさぎよい印象を与えます。こうした止め字になることの多い発音をヒントにして、その発音に相当する止め字以外の漢字を使って名づけてみるのもよいものです。たとえば、「聞多(もんた)」「慧逸(けいいち)」「信応(のぶお)」「英詩(えいじ)」など、止め字の代わりとなるフィーリングの漢字は、いくつでも発見できます。

<男の子の止め字>
一、二、三、次、治、夫、生、雄、男、士、司乎(追加人名用漢字、お、か、や、こ)、也、弥、矢、蔵、造、人、即、朗、彦、介、助、允、甫、平、作、之、行、太、吉、衛、仁

<止め字を使った名付け例>
孝一 郁乎(いくや) 拓哉 修造 大輔 玲二 健三 春生 利雄 健乎(たけお)尊弥(たかや)太郎 一朗 芯甫(しんすけ) 卓也 英也 健蔵 晴彦 健介 秀作克之 大吉 大樹 靖仁(やすひと)佑允(ゆうすけ)慶太 守衛(もりえ)

個性的な漢字3字を使った名前

健太郎、祐一郎、吉之介、憤之助などの漢字3字を使った名前は、男の子らしいので、いまでもつけられています。その人が年齢を重ね、重要な地位に上がるにつれて重みを増し、親しまれる名前です。しかし、最近ではこうしたこれまでの名づけ方にとらわれないで、当て字を使ったしゃれた名前をつける傾向になってきました。また、よくある名前の呼び方を、親のフィーリングに合った好きな漢字を当てて名づける傾向もあります。名前は漢字の当て方ひとつで、とても新鮮になります。

<個性的な漢字3字の名付け例>
阿貴羅→あきら 亜斗夢→あとむ 伊久磨→いくま 字意理→ういり 英意志→えいじ雄佐武→おさむ 加寿馬→かずま 草大男→くさたお 景思郎→けいしろう 早斗史→さとし 寿希也→じゅきや 多加志→たかし 千加史→ちかし 奈津夫→なつお南伊瑠→ないる 日出人→ひでと 満寿夫→ますお 迪太郎→みちたろう 也寸志→やすし 柚多夏→ゆたか 林太郎→りんたろう 怜太郎→れんたろう 和多留→わたる