症状からみる病気と家庭看護 - 赤ちゃんのための家庭看護2

体温の正しいはかり方

1日4回はかるのが理想的

体温は、体の部分によって少しずつ違います。検温は、いつも同ドしところに体温計を当てて行うのが基本です。また、朝・昼・夜、寝る前・寝起き、ミルクの前・後など、1日のうちでも変化しますから、はかる時刻も決めなければいけません。一般に、朝より夜は高めですし、食後、入浴後、泣いたあと、遊んだあとは体温が上がります。ふだんの検温は1日1回でよいのですが、病気のときは病状の変化を知るうえで、朝目覚めたとき、昼食前、夕食前、夜寝る前と4回はかるのが理想です。

検温したら、ノートにメモしておき、医師の診察を受けるときに報告します。水銀計を使うときは、決められた時間より1〜2分長めにはかります。最近は、赤ちゃん用の電子体温計も普及してきました。なかなかじっとしていてくれない赤ちゃんには、手軽で短時間に検温できる電子体温計はとても便利です。体温をはかる場所は、わきの下、旺門、口の中などがありますが、子どもの場合、口の中は危ないのですすめられません。小さい赤ちゃんは肛門やあごの下、大きくなってきたらわきの下ではかります。

水枕を当てる

直接肌に当たらないようタオルにくるむ

水枕は、当てて赤ちゃんが気持ちよさそうなら使います。いやがるときは無理に当てる必要はありません。枕の高さが、いつも使っている枕と同じくらいになるように、水の量を調節します。枕の中の空気をしっかり抜くことがコツ。でき上がった水枕をタオルでくるんで、肩を冷やさないようにして当てます。くびの下にタオルを巻いて入れてもよいでしょう。水を入れるときは、いったん水を流水に当てて角がないようにするとよいでしょう。氷の量は、頭にゴロゴロ当たらない程度で。

浣腸をする

まず、こよりや綿棒で

月齢の低い赤ちゃんには、こより浣腸がおすすめです。腰の強い和紙でこよりを作り、半折りにしてさらにねじります。その先にオリーブ油などをつけて、赤ちゃんの肛門に2〜3cm差し入れます。こよりを回すようにしたり、出し入れして肛門を刺激します。こよりのかわりに綿棒を使ってもかまいません。綿棒は少し下向きに入れるのがコツ。市販の浣腸剤を使うときは、まず説明書をよく読みます。浣腸器の先にオリーブ油などをつけてなめらかにし、静かに肛門に差し込みます。液はゆっくり注入し、入れ終えたら肛門をティッシュペーパーなどで押さえながら浣腸器を抜きとります。そのまま2〜3分、押さえたままにして、その後排便させます。浣腸をするときは、必ずおむつを敷いておきましょう。

湯たんぽを当てる

足に直接ふれないように

赤ちゃん用にはプラスチック製の湯たんぽが、扱いやすく、やけどの心配も少ないようです。60度くらいの湯を入れて、栓をしっかり締め、カバーやタオルなどで厚くくるんで使います。赤ちゃんの足から20〜30cm離して布団に入れます。室温が20度以上あり、赤ちゃんが寒がらなければ、寝具が温まったらとり出してもよいでしょう。それほど温度が高くなくても、長時間ふれていると低温やけどを起こす危険があります。赤ちゃんの足に、湯たんぽが直接ふれないように注意しましょう。

おふろに入れないとき

部屋を暖かくして体をふく

病気のときぱ想像以上に皮膚が汚れています。少しくらい汚れても命にかかわることはありませんが、湿疹やかぶれで赤ちゃんにつらい思いをさせる結果は招きたくありません。おふろに入れないときこそ、いっそう体の清潔を心がけてあげましょう。アメリカなどでは、少しくらい熱があっても入浴させてかまわないという考え方が、主流です。病気だからといって神経質に入浴を控えるばかりではなく、赤ちゃんが元気そうなら医師に相談してみましょう。おふろに入れられないときは、体をふいてください。部屋を十分に暖かくして(室温22度以上)、お湯で絞ったタオルで全身をふきます。顔から順に体の下へふき、股間、おしりを最後に。ふく部分以外はバスタオルで体をおおっておきましょう。頭が汚れてかゆそうなら、ぬれたタオルでふいたあと、乾いたタオルで水けをとります。

アルコールを使ってもさっぱり

体をふくときにアルコールを使う方法もあります。ぬるま湯と消毒用アルコールを半々にまぜ、それでタオルを絞って体をふきます。アルコールの気化熱で皮膚がスッと涼しくなるので、熱があるときには気持ちがよい方法です。全身をふかなくても、頚部(くび)、わきの下、鼠径部(脚のつけ根)などのポイントをふくだけでもよいでしょう。

おしりは部分洗いで

おしりは、うんちのたびに洗ってあげたいものです。特に下痢のときは、油断するとすぐにただれてしまいます。洗面器にぬるま湯を入れて、部分洗いを。シャワーを利用してもOK。

食べ物・飲み物は?

のど越しのよいものを食欲に合わせて

病気の回復に栄養はたいせつです。でも食欲がないのに無理じいして食べさせるのはよくありません。赤ちゃんの場合、水分さえしっかりとっていれば、2〜3日食べなくても心配ないのです。ぐあいが悪いときは、栄養より食べやすさを第一に考えます。コンソメゼリーやヨーグルト、やわらかくつぶした果物など、のど越しのよい食べ物を工夫してみましょう。

吐きけのあるときは水分補給が第一

吐いたときは、吐きけがおさまるまで食べ物は与えません。1日は絶食したほうがよいことも。湯冷ましや番茶などの水分がよく飲めていれば大丈夫です。ミルクや母乳はほしがったら与えますが、それで吐くようなら、しばらく控えます。

下痢のときは消化のよいものを

下痢のときは、消化のよい食べ物を中心に与えます。母乳はいつもどおりミルクは薄めにして与えます。離乳食は1段階前に戻します。みかんは便をゆるくするので避けましょう。逆に、りんごは便通をととのえる効果があります。嘔吐、下痢がひどくて、水分も受け付けない場合は、脱水症状がこわいので早めに医師にみせてください。

じっとしていない赤ちゃんは?

おとなしく遊んでいてもオーケー

じっとしていないのは元気な証拠です。無理に押さえつけてまで、布団に寝かせなくても大丈夫です。ほんとうにぐあいが悪ければ、動き回らずに静かにしています。病気が軽く、元気なときは、家の中でおとなしく過ごす(遊ぶ)ことを安静の目安にしましょう。お母さんがそばにいてあげれば、案外じっとしてくれるかもしれません。布団の上でできる遊び、たとえば絵本や折り紙、積み木、お絵描きなどで、お母さんもいっしょに遊んであげましょう。指人形も喜ぶかもしれませんね。遊びがうまくできない小さな赤ちゃんは、抱っこやおんぶもりっぱな気分転換です。外出は「医師の許可が出てから」が原則ですが、お天気のよい日、赤ちゃんのきげんがよく元気そうなら、10〜20分、外の新鮮な空気にふれるのも、病気回復に役立つかもしれません。