症状からみる病気と家庭看護 - 発疹

始めにチェックしたいこと

熱が出ているか?

赤ちゃんは、よく発疹が出ます。その発疹が体の病気から出ているのか、または皮膚のトラブルなのかを見分けるポイントは「発熱」です。中にはほとんど熱が出ない場合もありますが、発疹症状があらわれる病気には大半、熱症状が見られます。発疹そのものは心配ありませんが、病気の他の症状がどんなぐあいか観察することがたいせつです。また、発疹があらわれる病気の多くは「うつる病気」です。症状の軽い重いに関係なく、医師の指導、治療をきちんと受けて、ケアに臨まなければいけません。

赤いポチポチやブツブツができているだけで、ほかに症状がないときは、あせもなどの皮膚トラブルが考えられます。かゆみが強いとき、発疹が広がったりジュクジュクくずれてきたときは、素人療法に走らず早めに皮膚科医の治療を受けましょう。卵や牛乳など何か特定のものを食べたときやある種の薬を飲んだときに、パーッと発疹が出るケースは、アレルギーによる「ジンマ疹」「薬疹」の疑いがあります。発疹だけのこともあれば、吐きけや下痢などを伴うこともあります。アレルギーの発疹は、皮膚のトラブルではありませんから、きちんと小児科医の診察を受けなければいけません。

発疹をよく見て

発疹という言い方は、体の表面にブツブツや色の変化などがあらわれた状態の総称です。あせも、虫刺され、ジンマ疹、アトピー性皮膚炎、はしか、水ぼうそうなど、皮膚のトラブルから全身の病気まで全部ひっくるめて、とにかく体にブツブツがあれば「発疹」と呼びます。発疹と同じような使われ方をする言葉に「湿疹」がありますが、湿疹は、皮膚トラブル中の「小さいブツブツが密生しジュクジュクした状態になることもあるブツブツ」の総称。発疹の中の皮膚部門の1バリエーションが湿疹というわけです。発疹から原因となる病気を判断するには、かなり専門的知識が必要です。お母さんは、病名を推測するよりも、発疹が出たときの赤ちゃんの様子や発熱のぐあい、発疹の出方、状態を観察することに力を注いでください。それを医師に報告することが、診断や治療に役立つのです。

少し様子を見ていいとき

必ず医師の診療を受ける

発疹が出たら、必ず早めに医師の診療を受けます。というのは、発疹が出たときのタイミングが、診断の重要な目安になるからです。また、前にも述べたように、発疹は「うつる病気」が多いので、早いうちから医師に経過を見てもらうほうが安心です。原因となる病気によっては、かなり高熱が出ることもありますが、熱そのものは恐れる必要ありません。赤ちゃんのきげんや元気さ、食欲の変化に気をつけていてください。

お母さんがケアするときは次のポイントに注意します。発疹は、「熱がない」「熱が出る前」「熱とほぼ同時」「熱が出てからどのくらいたって」「熱が下がってから」など、熱との関連で出方を観察します。「体のどの部分から出始めたか」「どこに多く出ているか」「発疹の広がり方、ふえ方は」など、発疹のあらわれ方の特徴。「水疱か」「赤い盛り上がりか」「まばらか、びっしりか」「しこりは」「発疹を指で押すと赤みが消えるか」など、発疹そのものの様子。さらに、「かゆがり方」「せきや吐きけ、下痢」などの全身の症状チェックを。

こんなときは急いで病院へ

容体が急変して苦しそう

発疹の出る病気は、医師の治療を受け、指導に従ってケアしていれば、さほど心配なものはありません。しかし、ウィルスや細菌の感染で病気が起こっているのですから、油断は禁物です。赤ちゃんは、病状が急に重くなったりする危険が高いのです。また、抵抗力が弱くなったところへ、他の病気の合併症を起こすことも考えられます。高熱が長引く、嘔吐やケイレンを起こす、意識がもうろうとしているなどに気づいたら、できるだけ早く医師の治療を受けなければいけません。ショウコウ熱や川崎病などでは、発疹がおさまって病気も落ち着いたころに、突然、容体が悪くなることもありますから、しばらくは経過を注意深く観察することが大事です。

家庭看護のポイント

かき壊しに気をつけて

発疹をかゆがるときは、かき壊しに注意します。つめを短く切るとか、ガーゼをミトンのように手にかぶせるなどの工夫をします。また、汗をかいたままにしておくと、かゆみが増します。ガーゼをお湯でしぼってふくなど、皮膚の清潔を心がけてあげましょう。医師の許可があれば、入浴をさせます。医師に病状を報告するときは、熱をこまめにはかることもたいせつです。